楠見晴重

京都盆地は南北約33km、東西約12kmの縦に長い形をしており、約3万年前に薄くたい積した沖積層、約150万~500万年前にたい積した洪積層、約1億~1億5千万年前にたい積し岩盤から成る古生層が分布しています。地下水は主に沖積層、洪積層の砂れき層に多く包蔵されています。 その南北方向の地下の様子は、京都市消防局が人工的に地震を起こして活断層を探る反射法地震探査を用いて行った図のとおりで、岩盤までいちばん深い場所は巨椋池(宇治の辺りにあった大きな池で、埋め立てられて今はない)付近で約800m、その上に砂れき層は何層にも分布していることがわかります。また、京都盆地に入ってきた地下水が流れ出る個所は桂川、宇治川、木津川の3川が合流する幅約1kmの天王山―男山辺りです。天王山と男山は同じ古生層から成り、地下わずか30mのところでつながっています。すなわち幅約1kmの天然の地下ダムが存在しているのです。 私は、ほかの地震探査資料、重力探査資料、約8000本のボーリング資料から、京都盆地の地下水賦存量を計算した結果、約211億トンとなりました。琵琶湖が約275億トンですから、京都盆地の地下には、琵琶湖に匹敵する水量の地下水が存在していることになり、しかも天然の地下ダムによってほんのわずかな量しか流れ出さないため、京都盆地には多量の地下水が貯留されていることになります。